「日米ソーシャルファイナンス・フォーラム2007」参加雑感

週末土曜日はソーシャルベンチャー・パートナーズ東京(SVP東京)慶應義塾大学井上研究室が主催の「日米ソーシャルファイナンス・フォーラム2007」というイベントがあり、参加してきたので簡単に報告しますね。台風が近づいている中ではありましたが150名近くの方が集い、熱気あふれるひと時でした。

今回はテーマがソーシャルファイナンスということもあり、金融関係にいて社会起業家、ソーシャルインベストメントなどに個人的に興味を持たれている方、或いは社会起業ということに興味を持っているビジネスパーソン、メディア関係の方、学生の方、また実際に社会的な課題に対して起業をしている方
も多くいらしたようです。

まずはプログラム詳細はこちらSVP東京のサイトを・・・

冒頭挨拶はおなじみ井上さん、最近メディアなどで注目されている「社会起業家」というトレンド・ムーブメントを簡単に整理され、潮流を二つにまとめて説明してくれてました。

ハイコンテクストな潮流の例として・・・(輝くロールモデルにスポットライトを当てたり、活躍する人を「celebrate」するような活動をしている団体)

グラウンドコンテクストな潮流の例として・・・(より具体的に組織の資金・運営支援などをしている団体)

などが列記されました。とてもマニアな名前かも知れませんが、5年後10年後には今のフォード財団、カーネギー財団と同様、多くの人に記憶されるようになるのかな、と聞いていました。

コトバとしてはベンチャーフィランソロフィー、ハイエンゲージメントなどいろいろな呼ばれ方があるものの、要するに【1】お金を出すこと(Funding)、【2】運営の支援をすること(capacity building)の重要性を指摘されてました。

続いて渋沢健氏のお話は日米での生活体験、また金融機関での経験を踏まえ、ソーシャル・キャピタルというテーマの中で豊富な情報、文献、フレームワークを提示され、考えるヒントがいろいろなところで盛り込まれているお話でした。

いくつか新しく得た情報として・・・

ロビンフッド財団
名前は何度か聞いたことがあったものの、初めてこの財団の革新性、そのスケールを知るきっかけになりました・・・。

ニューヨークの伝説的なヘッジファンドのマネージャーが1988年に創った財団で、投資の運用利回りで利益を出しながらニューヨークの貧困問題を解決するために教育、医療などのプログラムにあたかもプライベート・エクイティファームが出資するように、投資、価値向上、評価、専門家のプロフェッショナルサービスの提供を行っているところが特徴的です。ボードメンバーはニューヨークビジネスのいわ
ゆるAリストの方が名前を並べてます。ロビンフッドの話は裕福な人から貧しい人に富を再分配するしくみとして、日本でいうならば「ねずみ小僧」となるわけですが、現代のアメリカにおいてヘッジファンドビジネス等による富の集中の中でこのような財団がうまれ、高い評価を受けているところは、改めてとても新鮮でした。

下記米経済誌フォーブスの記事にロビンフッド財団の詳細が描かれています。少し長い記事ですが、昨年のフィランソロフィー特集号に掲載されていたもので、そのスケールに正直驚かされます。ぜひご一読を・・・。

The legend of Robin Hood

How the leaders of the hedge fund world have banded together to fight poverty - taking gobs of money from the rich, applying strict financial metrics in giving it away, and making philanthropy cool among the business elite.

最近出版された「ニューリッチ」という本の中でもロビンフッド財団創設者のポールチューダー・ジョーンズ氏はじめ、新富裕層の慈善活動などが詳細に記載されているとのこと、こちらは改めてupdateしたいと思います。

ザ・ニューリッチ―アメリカ新富裕層の知られざる実態

ザ・ニューリッチ―アメリカ新富裕層の知られざる実態

いきなり脱線してしまいましたが、渋沢氏が取り組んでらっしゃる下記プログラムも初めて知り、日本でもビジネス・投資の手法を社会的な問題解決に活かしている例として興味深かったです。

SEED Cap Japan (社会起業家育成支援プログラム)Social Entrepreneur Enhanced Development Capital Japan

続いてMary Bright氏(SVP International)のお話はソーシャル・ベンチャー・パートナーズの組織のお話、またアメリカにおいての政府、NGO/NPOの役割、特徴などの説明。。創業者のPaul Brainered氏が「Pagemaker」というデスクトップ・パブリッシングのソフトを創った方で、アドビ社に会社を売却したことで得た富もあり、財団、ベンチャーフィランソロフィーという活動を推進するに至ったことも新しい発見でした。

ロビンフッド財団のみならず、ここでも「ザ・ニューリッチ」と呼ばれる方々の想い・お金・時間・ビジネスノウハウ・人脈の使い方として、社会起業家的な動きが脚光を浴びているのだなぁ、と納得。

続いては伊藤健氏によるSVP東京の紹介。日本でもビジネスの現場で活躍している20代、30代の方がいい意味でSVPのモデルを実践している姿を見て改めて感銘。SVPのこれからに期待しつつ、自分は今何ができるのか、考えるきっかけでした。

書きたいことはまだあるものの、取り急ぎここまで♪