社会起業家が創りだす未来

少し大げさではありますが、過去7〜8年興味を持ってwatchしていた「社会起業家」とよばれる新しいタイプのリーダーに世界中から期待が集まっているのを実感する今日この頃です。特に先週はスイスでのダボス会議が開催され、マイクロソフト会長ビル・ゲイツ氏が「創造的資本主義」を提唱したり、またグーグル財団が今後の活動指針を発表したり、そうした事象に併せいろいろな議論がされているようです。英国の雑誌The EconomistにもCSR(企業の社会責任)について14ページにも渡って特集され、社会的な課題を解決するためにビジネスがどう関わるかも大きく問われているようです。

上記それぞれに関してはまた改めてレポートしたいと思ってますが、急ぎとても気になったNew York Timesの記事があったのでupdateします。


以前に東京支局長だった著名記者ニコラス・クリストフ氏により「The Age of Ambition」と題されたコラムには、かつての市民権運動家、反戦活動家(60年代)、そしてIT起業家(80年代)に代わり、今日、もっともremarkable(顕著な)若者は社会起業家であると主張しています。(Jan. 27, 2008)


以下簡単な抄訳です

These are the social entrepreneurs, the 21st-century answer to the student protesters of the 1960s, and they are some of the most interesting people here at the World Economic Forum
社会を変革しようとしている社会起業家は1960年代の学生活動家に対しての21世紀における回答であり、彼らはダボス会議に集って来ている最も面白い人物に属する、と。

例えば現在はハーバード・ビジネス・スクールの学生である26歳のAndrew Klaberは、大学2年生の夏をタイで過ごし、エイズで親を亡くした女の子が児童買春を余儀なくされている現実を目の当たりにし、その問題を解決するためにOrphans Against AIDS (www.orphansagainstaids.org)を立ち上げ、何百人もの児童に対し、学校に通うための費用をウェブサイトを通じて集める、という活動を行っている若者です。また、この活動はアフリカにも展開する予定とのこと。また彼の大学の一年上の先輩が既に「Unite for Sight」(www.uniteforsight.org)という組織を立ち上げ、昨年に開始して以来既に20万個の中古眼鏡をアフリカの眼鏡を必要としている人々に送っているという活動をしているとのことで、お互いにサポートしあっているとのこと 。

60年代、もっとも顕著(remarkable)なアメリカの学生は市民権運動、反戦運動家となり、国を変革するムーブメントを開始していた。80年代に輝いていた人たちはスティージョブズビルゲイツのような起業家で、次々に会社を起業し、我々がテクノロジーをどう使うかに関し革命的な変化をもたらした。今日、最も注目に値する若者は、社会の問題を発見し、腕をまくり、新しい方法で解決しようとする社会起業家である。社会起業家を支援するアショカの代表であるビル・ドレイトン氏は「社会起業家は魚を渡すのでなく、また人々に漁の方法を教えるのでもなく、漁業業界そのものを変革することを目的にする人々である、と言っています。

これらの話を聞きとてつもなく野心的と思われるかもしれないが、実際そうなのである。例えば最近出版された「The Power of Unreasonable People: How Social Entrepreneurs Create Markets That Change the World」by John Elkington (Author), Pamela Hartigan (Author), Klaus Schwab (Foreword)には多くの事例が紹介されています。

The Power of Unreasonable People: How Social Entrepreneurs Create Markets That Change the World (Leadership for the Common Good)

The Power of Unreasonable People: How Social Entrepreneurs Create Markets That Change the World (Leadership for the Common Good)


この記事にはその他にもヨルダンやブラジルで社会起業家として活躍している20代、また30代のリーダーの話を報告しています。

特に印象的だったのは、「社会起業家は60年代のかつての社会活動家の21世紀における答えである」、というフレーズ。日本でもかつて60年代に学生運動をしていたような、社会の動きに敏感な現代の若者が、「社会起業家」という新しいキーワードで自分の社会の中での位置づけ、接し方、そして仕事観なども模索しているような気がします。まだまだ明確な答えはないようですがここ数年でいろいろと面白いことになってきそうな気がしますね。