『ベイジン』(真山仁)一現代中国と希望の小説


ベイジン〈上〉

ベイジン〈上〉

ベイジン〈下〉

ベイジン〈下〉

「ハゲタカ」で気になっていた真山仁氏の新作、北京オリンピックを直前に控え、とてもタイムリーな単行本化だったので、即買い、即読了。

普段あまり小説は読む方でないものの、気づいたら真山本はほぼ全て読んでいる。なんというか、想いある、現代社会派エンターテイメント小説。
青臭さもありながら、きっちり現実も織り込まれていて、バランスがいいところが気に入ってます。多分かつて漫画で「サンクチュアリー」なんか
を読んでいた人が読んでいるのかなぁ、と勝手に想像。


話の内容はそれぞれ生い立ち、立場が異なる日本人原発技術者と中国党幹部が、2008年8月8日のオリンピック開幕に合わせて世界最大の原発の運用開始
に向けて、いろいろなドラマが織りなされる、というもの。一気に読めて、エネルギーがもらえるような、そんな力強い小説でした。

発売日直前にこんなニュースがあり、異様な現実見を感じてしまいます。


中国「原発大国」へ、15年で6兆円を投資(Yahoo ニュース 2008/7/16より)

2008年7月15日、中国は今後15年以内に、「原発大国」を目指す計画であることがわかった。2020年までに4500億元(約6兆7500億円)を投じて、国内の原子力発電所の設備容量を4000万KWにまで増やす計画だという。広州日報が伝えた。

中国は今年、福建省の寧徳市と福清市、広東省の陽江市で、原子力発電所の建設が進めているが、記事はこれを「原発大国への序章に過ぎない」と指摘。中国ではこの3か所のほか、内陸部の湖北省湖南省江西省などで計数十基の建設計画が着々と進められているという。

1991年12月に中国初の国産原子力発電所が建設されてから20年足らずだが、「中国の原発戦略は、『積極路線』に転換した」と記事は指摘している。