不況の影響でコーポレート・レフュージー(企業難民)が、NPO/ソーシャルベンチャーへ?

ここ最近の不況の状況を受けて、アメリカのビジネス・プロフェッショナル、或いは新卒MBA保持者がNPO・ソーシャル・ベンチャーの仕事に興味を持っているという現象を取り上げた記事が複数あり、いろいろな視点から議論がされていてとても興味深いです。

『Skyrocketing Interest in Careers in Social Entrepreneurship and Start-ups Evidenced by MIT Sloan School “Tech Trek”」(MITビジネススクールの研修旅行に見られる、スカイロケット的な(急激な)社会起業家やスタートアップに対する興味)』という記事よると、通例グーグルやYahooのようなシリコンバレーの著名企業を訪問するMITビジネススクール学生の研修プログラムが、今年は代わりにソーシャルベンチャーの団体(kiva等)やスタートアップベンチャーを訪れ、学生も社会起業的なキャリアに興味を持っているとのことです。おおむねこの記事の著者は優秀な人材が「業界」に興味を示すことに好意的な視点で記事が書かれています。

一方、今月のFastCompany誌に掲載されたコラムは、『Nonprofits? Not a Recessionary Refuge for Job Seekers」NPO?不況時求職者のための避難所ではないですよ)』、というやや過激とも思える視点からこの現象を捉えています。コラムの著者は自身もロースクール出身でありながら卒業後からソーシャルベンチャーを起業、今は「Do Something」というNPOのCEOをやっている、いわゆるたたき上げの方で、今の時期に昔のクラスメートや元ウォール街で働いていた友人・知人からの転職相談の数が急増して、フラストレーションを持っている、とのことです。曰く、彼ら・彼女らは今までNPOの仕事に興味を示した訳でもなく、何をやりたいか聞いても「NPOならば何でも・・・」というような「業界」への理解がないことに対し、「(景気がよくなるまでの)一時的な避難場所ではないです!」という言い分のようです。

Change.org内の社会起業関連のブログでも、この営利 VS. 非営利という相対する概念を超えて、両者のいい部分がいくことが望ましい、とコメントしてます。

「Business World Refugees in the Nonprofit Sector」 (change.org)

日本の場合、すぐに転職先となるようなNPOはまだないかもしれないものの、中途採用を行うようなソーシャルベンチャーが育ったり、或いは政府での中途採用などが増えるかも知れませんね。