村上龍「半島を出よ」

半島を出よ (上) 半島を出よ (下)

「この本は絶対読むべし。必ず何かTakeawayかあるはずだ。」と最近の定点観測のマイブームである梅田さんが書かれていたこともあり、連休中に衝動買い、上下併せて約900ページの長編を2日間で読んでみました。幻冬社という出版社の世の中に対しての仕掛け方も以前から気になっていたし、村上龍の最近の世の中を見る視点・切り口もうまいなぁ、と思ってたことも読んでみる理由ではありました。

読んでみて思うこと‐、人物描写、状況描写からいろいろなものごとの本質を考えさせるような視点がたくさん散らばめられているなぁ、と。詳しく一つ一つは挙げないけれど、本を読みながらページの上の角をたくさん折り曲げながら読むことが出来た本でした。実はものがたりが長く、そして主人公が特に存在しないという構成上途中何度か眠くなることもあったものの、それでも読み終わったときには2日間の格闘が報われたような、「なるほど」という膝を打つ思いが得られました。こういう本はひとりで読むよりはむしろ何人かで読後感を共有しながら価値観のやり取りが行われると楽しいんですよね、きっと。いや、楽しいというよりも「正直このままで本当にいいのか?」と危機感を感じさせられるような内容が実は多いのですが。。。

この間新聞の文芸欄でちらっと村上龍司馬遼太郎の比較がなされてました。二人ともその人間洞察の鋭さ、そして社会性、そして理想論を小説というメディアを通じて発信しているところが共通していて、現代における司馬遼太郎としての村上龍という視点はとても新鮮でした(それほど大量にこの二人の作品を読んでるわけではないものの、これからもっと読んでみようという気になりました)。個人的には村上龍司馬遼太郎、そして本宮ひろしも系列が似ているような、共通項を感じずにはいられません。