日本経済新聞 春秋(12/30)がなんだかとても印象に残ったので・・・

「KY」対「そんなの関係ねえ」。今年、矛盾するような2つの言葉が同時に流行した。前者は空気(K)を読めない(Y)人への非難。後者は場の空気に構わずパンツ1枚で踊りながらこの語を連呼する若手芸能人を発信源とする。

▼評論家の山本七平氏が日本人の行動を決めるものを空気だと指摘したのが1970年代。指導者すら「まずい」と感じつつも、空気に逆らえず戦争の深みにはまった。空気で物事が動いていいのか。そんな問題提起だった。こっそり人を支配するものから進んで読むべきものへ。30年で空気は表舞台に躍り出た。

▼コミュニケーションの「共通の前提」が崩壊したから、と分析するのは社会学者の宮台真司氏だ。前提がまちまちでスムーズな意思疎通は難しい。代用品として場の盛り上がり、すなわち空気が異常なほど大事になったとみる。

▼人と人の関係は粗野だが温かいものから「互いに過敏に牽制(けんせい)しあう神経質なものに変質した」と宮台氏。気になることがあっても右から左へ受け流せ、と歌うタレントも今年、人気を得た。空気を読み、顔を使い分け、即興で役割を演じる。そんな日々への倦(う)みを「関係ねえ」の連呼への喝采に見るのは深読みが過ぎるか。

「友人とは。学校とは。幸福とは。働く意味とは。親とは、子とは。」に加え、何でも付け加えることができると思うけれど、ネットのあちらとこちら。都会と地方。大企業、ベンチャーNPOで働くということとは・・。など、ますます持って共通の前提が崩れてきそうですね。