【新刊紹介】「世界がもし100人の村だったら 完結編」& 社会起業家

世界がもし100人の村だったら 完結編

世界がもし100人の村だったら 完結編

「世界には68億人の人がいますが それを100人に縮めると・・・」と始まる、「世界がもし100人の村だったら」という本、ご存知の方も多いとは思いますが、ついにシリーズ5冊目、「完結編」が昨年12月に出版されました。もともとの本の成り立ちは、2001年9.11直後に世界中を駆け巡った1通のメールに描かれた、わたしたちがどんな世界に生きているかということ、貧困や戦争などの現実等を分かりやすい「数字」を用いることで伝えてくれるエッセイです。

5年ほど前、1冊目を読んだ際には普段なかなか体感できない世界の格差や貧困問題をとてもリアルに感じる機会となり、驚きと共に、なかなか現実に対し何も出来ない無力さをも感じさせられたことが印象的でした。この本にちなんだワークショップが各地で行われたり、フジテレビで特別番組が作成されたり、大きな話題になりました。

そのシリーズ「完結編」とのことですが、今回は今までの課題・現実を踏まえ、未来のこども達に対して今何ができるか、ということで2015年、2030年という近未来の数量的データを盛り込みながら、きれいな各国の写真を織り込みながら描かれています。

国連人口基金も編集協力されているとのことで、「貧困の終焉」で有名な経済学者ジェフリーサックス氏インタビューや「ミレニアム開発目標」のことが解説されています。

そしてさらに、「チェンジメーカー」著者で有名な渡邊奈々氏による社会起業家も10名ほど紹介されています。
ビル・ストリックランド氏、ティーチフォーアメリカのウェンディ・コップ氏、MFCIの枋迫氏等、日本でも最近注目されている方々が、社会起業家的なアプローチで具体的に問題解決を進めている様子が描かれていることで、一層この本にしまりが出ているように感じます。

個人的に驚いた数字の例をひとつ・・・

アイスランドの人は99%の電気を水力と地熱でまかなっています。2030年までに石油や石炭や天然ガスを使うのをやめます。

ドイツの人は14%の電気を太陽や水や風などからつくっています。2015年には、それを20%にします。2020年には原子力発電をやめます。

デンマークの人は20%の電気を風力でまかない、2030年には、それを50%にします。

日本の人が太陽や風などからつくっている電気は0.7%です。2014年には、それを1.63%にします

学校の教室や、家庭に1冊、こんな本があると豊かな会話が生まれるのでは、と思わせる本当にいい本でした!是非書店で手にとってみてくださいませ。

「送金革命」を推進する社会起業家、枋迫篤昌氏セミナー@ISL社会イノベーション・センター

昨夜はNPO法人ISLの社会イノベーションセンター主催のフォーラムに参加、米国ワシントンを拠点に、海外移民労働者のための送金システムで革命的な事業を推進している枋迫篤昌(とちさこ・あつまさ)さん(MFIC:Microfinance International Corporation代表取締役)のお話を伺うことが出来ました。

枋迫さんは社会起業家育成団体アショカ財団が表彰するアショカフェローの日本人第一号として知られていたり、日本のメディアでも紹介されていて、そのストーリー、情熱は文字を通じて読むだけでもとても刺激的なものです。ただ、昨晩は直接ご本人の言葉として紡がれることで、よりパワフルにメッセージを得ることが出来ました。

参考記事:
『「送金革命」実現した日本人バンカー〜金融界に挑む枋迫MFIC社長』Japan Business Press 2009年01月

サンケイニュースオンライン 2007年12月

日経ビジネスオンライン(全文閲覧は要会員登録) 2006年11月)

・『社会起業家という仕事〜チェンジメーカーII』(日経BP)の中でも詳細にストーリーが記載されています。

社会起業家という仕事 チェンジメーカー2

社会起業家という仕事 チェンジメーカー2

詳細は上記記事などに譲りますが、一人の日本人の方が、世界の貧しい人たちのために事業として大きなインパクトを与えていること、またその方が実に日本的な、誠実なお人柄で、その方でしか出来ない、今までにないような新しいビジネスモデルを構築、推進している様がとても爽やかで印象的でした。

金融を通じて社会貢献を目指す方、また27年間もの間大企業で会社員として勤め上げた上で49歳で”起業”された、というところから熟年?起業を考えている方、1つの想いを大切に、生きる意味を常に探りながら自己実現を目指す方などは、是非上記記事、参考になると思います。

一点、非常に興味深かったのでは、今後の日本におけるビジネス展開のお話。日本からの海外送金も近い将来可能になるとのこと。上記JBPressインタビューのインタビューで下記のようなことを話されています。

「今後、明らかに日本でも1000万人規模で移民を受け入れる必要が生じる。その際、出稼ぎ移民の本国送金を円滑にするインフラの整備は、ホスト国の責任になる。国家プロジェクトとして、政府主導で行うべきものだ。逆に言うと、こうしたインフラも準備せずに移民に来てもらうのは、失礼というか無責任な話になる。日本の意思決定に携わり、先行きを論じるべき人は、それぐらいのビッグピクチャーを持たなければならない。」

MFCI、枋迫さんの今後の活躍に注目ですね。

kiva.orgを理解する11分動画

オンライン決済の仕組みを利用したマイクロファイナンスツールの代表格であるwww.kiva.orgが発行するメルマガで先週配信されたビデオ動画が各地で話題になっているようですね。

2008年の様々なアワードに革新的なサイトとして紹介されているkivaですが、今ひとつしくみが分かりにくい、と感じている方も多いと思います。

こちらのビデオはイギリスの金融機関で働いている女性が、www.kiva.orgを利用することで簡単にオンライン決済システムで融資を行い、その25$がいかに融資先のカンボジアの農村で事業を営む人のもとに届くか、ということをとても分かりやすく説明されています。

IT業界の方には有名な百式.comでも先日紹介されていて、日本でもだいぶ認知度が高まってきているような気がします。以前にNHKでkivaの様子が紹介された際、テレビを見ていた親が「こんな簡単に世界の貧困に援助・融資が出来るならば、是非参加してみたい」といっていたのが印象的です。もちろん英語でのウェブサイトで決済する際に語学による障壁はあるものの、将来的には日本からでも同様の方法で融資が出来るような時代がくるのでは、ということを感じますね。

下記ビデオ、英語で約11分程度ですが、分かりやすいのでお時間ある方は是非♪

A Fistful Of Dollars: The Story of a Kiva.org Loan from Kieran Ball on Vimeo.

ソシアレ・サービス・ディ (2月中旬)企画中

先日は年明け早々の金曜日に関わらず、ソシアレ・サロンにお越しいただいた方、ありがとうございました!。合計8名、うち初めてお越しいただいた方が3名という構成にも関わらず、あっ!という間に時間が過ぎるほど楽しい時間を過ごさせていただきました。やはり同じような興味・関心をお持ちの方のつながり、というのは貴重だなぁ、と改めて感じました。

さて、突然ではありますが・・・・、実はオバマ氏のイベントに触発され、今回はいつものサロン形式ではなく、具体的に何か奉仕活動をイベントとして企画してみようと思ってます!

2月中旬の週末土日のどちらかで、午前を活動&その後ランチ、という構成でまだ計画中で、詳細は次回メルマガでお知らせしますが、「是非プランニングに関わって見たい」、「こんな活動がオススメ!」、或いは「こんな団体に参加するといいよ」というアイディアがあれば是非お知らせください。 (→ socialcompany(@)gmail.com )

オバマ大統領就任前夜のナショナル・サービス(奉仕)イベント

今月1月20日オバマ大統領就任式、その一日前、1月19日はちょうどマーティン・ルーサー・キング・デー」という全米各州で奉仕活動を推奨する祝日ですが、オバマ氏は就任式に先立ち、この日を「Renew America Together」として、国民全体に奉仕活動を促すイベントを就任イベントの一環として予定している、とのことです。併せて、専用のサイト「www.USAservice.org」というサイトを立ち上げ、国民一人一人が各地域で活動に参加したり、自分で企画することを強く促しています。ウェブサイトの中には既に5000程のNPO等の団体が登録され、各地でのボランティアイベントを閲覧、登録が可能。

記者発表では元国務長官コーリン・パウエル氏が奉仕活動、ボランティア活動の大切さを訴えてますが、これだけ大きなスケールで国民にビジョンを伝える様子はアメリカ文化に根付くパブリック・サービスの懐の深さを強く感じます。

今までの大統領もそれぞれサービスに関しては特徴あるプログラムを打ち出しては来ているものの(ブッシュ父〜ポイント・オブ・ライト・ファンデーション、クリントンアメリコア・プログラム等)、就任する前からこれだけのスケールで仕掛けるのも今までにないことなのでは、という気がします。

また、特徴的だったのが、記者会見の中でコーリン・パウエルも「クレイグズ・リスト(www.craigslist.org)のようなもの」と言っていた、このウェブ・サービスの利用に関して。クレイグズリストとはシリコンバレーで始まった売り・買い情報を提供するクラシファイド・サイトの定番。アメリカの大統領就任時に打ち出すサービスがクレイグズ・リストを見習い、その記者会見がすぐにYoutubeに流れる、というスピード感・・・、凄いです。

時間を経て、形を変え、日本の奉仕活動、ボランティア活動にも大きな変化が今後起きるのか・・・興味深いところですね。

今年注目のトレンドより〜ソーシャル・メディアの発展、成熟

最近改めて気付いたのですが、海外には非営利団体の活動、社会起業、NPO、国際開発など、社会貢献的な興味を持った人(それが活動家であれ一般人であれ)に対して情報を提供するウェブサイト、SNSが本当にたくさんあります。

その中の筆頭角として非常に知名度がある「www.change.org」は、2007年2月、とつい2年前に開設されたにも関わらず、既に多くのトラフィック、信頼を多くの人から勝ち得ているようです。

つい先日、そのchange.org上で紹介されていた2009年のトレンドの1つとしても「オンライン・アクション・プラットフォーム」が今年はますます注目される、と予測しています。

例えば、下記のような用途・機能を担うメディアとして、オンラインメディアが注目されているとのこと・・・

【Micro-ization〜マイクロゼーション】
(2008年を通じ、kiva.org, Twitterなどを通じて小額、手短なやり取りを通じて寄付などが行われた。オバマ選挙戦なども

【Aggregation〜アグリゲーション(集約化)】
情報、人、お金などのリソースの集約化する機能(The Point, Entrepreneur Commonsなど)

【The Return of Content〜コンテンツの復権?やり取り?】
社会問題や特定のイシューについてのバランスの取れた情報・意見を交換できる場所とし
てのプラットフォーム

【Startup Funding〜スタートアップのためのファンディング】 Echoing Green、Idealaobなど、
スタートアップのための資金を提供するオンライン・サービス・サイト

【Rating Systems〜評価の仕組み】
様々な活動がどのようにインパクトを与えているかを評価するサイト等

たくさん伝えたいことがありすぎて今回伝え切れませんが、今年の注目テーマとして「ソーシャル・メディア」をフォローしていきたいと思っているので継続的にアップデイトしますね。

【参照】 
TechCrunch Japanより 「変化のためのSNS、Change(.org)」

change.orgより「Top Trends 2009 #4 Online Action Platform」

2009年、これからの新しいキャリアのかたち

先日、偶然同じ日に目にした小さな記事2つが、「2009年、これからの新しい働き方」に関して示唆に富むなぁ、と思ったので簡単にご紹介。

1つめはおなじみ「Fastcompany」のコラム「What's Next For Social Capitalism」から〜

A friend of mine from college has always been committed to fighting international poverty. First she worked for some of the big aid organizations like Mercy Corps and CARE. Then she took a job with a more entrepreneurial, microfinance-related group. Lately she's very excited about the prospect of working for Obama's new state department.

「大学の同級生は今までいつも国際的な貧困に立ち向かうことに取り組んできた。最初にMercy CorpとCAREという大きな援助団体で働き、その後マイクロファイナンス関係のより起業家的な組織で働き、そして最近はオバマ政権下での国務省で働く予定であり、とても興奮している」とのこと

日本で考えた場合、巨大NGO団体→マイクロファイナンスのスタートアップ→外務省というようなキャリアパターンはほぼないに等しいとは思うものの、アメリカでの、時代とともに形を変えつつ、問題解決の手法、その時々の効果的なキャリアが変容してきている様を考えさせてくれる話でした。

同時に紹介されている、国際政治経済週刊誌「エコノミスト」の経済ライターが昨年末に書いた「フィランソロキャピタリズム」という本も、近年の社会起業家と台頭に関して体系的にまとめられた良書のようですね。書評はまた改めて・・・

Philanthrocapitalism: How the Rich Can Save the World and Why We Should Let Them

Philanthrocapitalism: How the Rich Can Save the World and Why We Should Let Them

もう1つ、最近気に入っているwww.change.orgで取り上げられていた記事「Entrepreneural Careerism in 2009」より

I think that in general, people find jobs where they have a sense of mission, work in
small teams, and feel like they have a personal stake that transcends a paycheck
just tend to be more fulfilling. Many social enterprises can offer that sort of work
setting in a way that larger firms just can't match, and you could see the sector
be a hugely in-demand space for job seekers.

ビジネスウィーク誌の予測する2009年の大予測の中で、今後より社会起業家的なキャリアが必要とされるようになり、それは仕事の中によりミッションを感じ、小さなチームの単位で働き、単に給料を得る手段だけ以上の達成感を仕事に求め、自分自身の影響力を行使できるようなものとなるであろうことが触れられています。

日本でも広く認識が拡がりつつある「社会起業家」的な組織、活躍する個人。ただキャリアのあり方に関しての変化はもう少し時間がかかりそうですね。